今回ご紹介する有限会社信和は、岡山県の瀬戸大橋に近い、倉敷市下津井で水産物や水産加工品の製造販売を手掛けている会社です。
先代(お父様)が昭和58年に漁業組合の参事を務めながら、水産物の運搬や販売を手掛けたのが始まりです。現在代表取締役の篠原義彦氏は、平成12年から下津井の街の賑わいを取り戻すことに心を砕きつつ、下津井の真だこにこだわって商売されています。
下津井は、昔から海と共に暮らしてきた港町でです。店舗は、廻船問屋を復元した施設で倉敷市が手掛けた「むかし下津井回船問屋」にあるしょっぴんぐばざーる館。店舗の前には、下津井名物の干だこがお客様をお迎えします。下津井の真だこは、明石、三原とならんで瀬戸内のブランドたこの一つです。
下津井の真だこは、他のたこと異なり、潮に流されないように足が短く、太いのが特徴です。ただ、食感は柔らかく、旨味があり、何処にも負けないたこだと篠原氏は力説され、「たこ愛」を感じます。
たこは、魚と同様に下処理が必要でヌメリを取るために塩もみから始め、頭(実は胴体)の中の内臓や墨を処理します。その手間が大変なので、下処理済みの真だこの一夜干しを考え、商品として販売を始めました。
「倉敷下津井真だこ一夜干し」は、JR西日本から表彰される程有名になり、下津井の名物になりました。一夜干しは、冷凍で販売されており、袋から出して5分程ボイルするだけでお刺身、から揚げ、タコ焼き等何にでも使える食材です。
下津井の真だこは、環境変化と共に年々漁獲高は減少し、価格も高騰しています。ただ、篠原氏は、下津井の真だこを是非食べて欲しいと真だこの唐揚げと鉄板焼き真だこの新商品を開発し、美味しく、しかも価格を抑えて提供しています。ビール好きの篠原氏のアイデアと努力で完成しました。
篠原氏は、下津井で生まれ育ち、地域の為に貢献してきました。干だこ袋にメッセージを添えた手紙もその一つです。ただ、コロナ下では、お客様が来ない日が続きました。お酒を出していないお店の為、補助金もでませんでした。 漁師さんや地域も苦しい状況が続きましたが、こだわり抜いた下津井の真だこに助けられました。取引してくれる相手があり、地域へ貢献できたと感じたそうです。
最後に、篠原氏は真だこが取れなくて、一時はたこから離れようとしましたが、できませんでした。
多分、たこの方も離してくれなかったと思えるお人柄でした。