



大学で環境保全と経済発展の両立について学び、地域おこし協力隊としてやってきた倉敷薄荷店主の岩崎さん。倉敷薄荷は、倉敷の資源や特産品を活用してまちづくり活動行う中、倉敷で薄荷が生産されていた歴史を知り、薄荷の栽培を復活させました。薄荷の魅力とこれからの展開について岩崎さんに伺いました。


倉敷の白壁通り、レトロな外観が目を引きます。店内は木製の柱や家具がを落ち着いた雰囲気。扉を開けると薄荷の爽やかな香りが漂い、まるで理科室の実験器具のような蒸留器が並び目をひきます。この蒸留器に乾燥させた薄荷を入れ蒸して水と油に分解することができます。倉敷薄荷では、使う方も安心して使用していただけるように、自然由来のものにこだわっています。薄荷の栽培は、農薬や化学肥料を使用しない契約農家の方にお願いしています。山のミネラルで育つように、農業用マルチシートもビニールではなく土に還るような素材のものを使用しています。
岩崎さん:倉敷薄荷で使用している薄荷は、薄荷本来の清涼感だけでなく、香りの中にほのかな甘みも感じられる「秀美(しゅうび)」という品種を使用しています。秀美の中に含まれる「メントフラン」という成分が独特の甘みを引き出しています。甘みがあるということは、キツさを感じずに清涼感のある香りを楽しんでいただけます。小さなお子様やアウトドア、登山などをされる方が虫よけとして使用したり、マスクに吹きかけリフレッシュとして使用していただきたいです。


かつて倉敷を含めた岡山全域で盛んに栽培されていた薄荷。栽培の最盛期である戦前では世界におけるはっかの輸出量1位が北海道、2位が岡山県だったと言われています。しかし戦後は高度経済成長の影響を受けて作付面積が激減していきました。倉敷薄荷はまちづくりに関わる者たちが地域資源を活用する市民活動から始まり、現在は薄荷栽培の再生と商品開発を通じて倉敷の魅力発信につながる活動を目指しながら日々取り組んでいます。
岩崎さん: 昭和に薄荷分場で試験栽培されていた時の資料や文献を参考にして、薄荷を栽培しています。当時の試験中の資料や実験に基づいた内容も見ることができ、大変参考になっています。私自身、農業経験がないので実際に薄荷の栽培をされていた農家の方の意見も伺いながら取り組んでいます。実際にお店に来ていただいた方には、香りを楽しんでいただくだけでなく、薄荷栽培の歴史や自然成分へのこだわりなどの背景も知っていただきたいです。


商品は薄荷の成分をオイル状に抽出したエッセンシャル・オイル(3ml/5ml)と、使用しやすいスプレータイプのエアフレッシュナー(20ml)。薄荷には清涼感だけでなく鼻やのどの通りを良くしたり、抗菌・防臭、虫除けの作用も期待できるため、ディフューザーに数滴たらしたり、掃除で使用する水に精油で香りをつけたり、入浴剤のようにお風呂に混ぜて使用する方もいるそうです。その他にもチョコレートや和菓子などとのコラボ商品も生み出しています。