





ぶらぶら旅、初の温泉紀行は温泉天国別府から
柔らかい色の石畳。レトロな街並。
ふわーっと湯けむりに包まれたような鉄輪温泉を歩く。
石畳の隙間からほわほわ立ち上る湯気。
裏道の亀裂やU字溝からシューっと怒ったように噴き出す湯気。
石の窯から盛大に吹き上がる湯気。
温泉宿の裏庭では、たくさんの煙突から、シュッシュッシュッと猛烈に湯気が噴き出して、懸命に働いている。
けなげだ。湯気ってホントにかわいい!

湯気を主人公に絵本を描きたいくらい
今年の夏は特に暑いから、湯気が蒸し暑いけど、冬はどんなにいいだろう。
西はなんだか日が長いから、7時前でも明るい。
猫いないかなと探しているけれど“餌やり禁止”などの貼り紙があって、なかなか見つかる気配がない。
「この辺に猫いないですかね」とひとっぷろ浴びてきた風情のおばあさんに聞いてみた。
「猫やらいちょる」と答えてくれ、その後もひとしきり柔らかい言葉のおしゃべりは続く。
ちょうど時刻がごはん時で観光客は宿にいるのか、行きかっている地元の人たちはみんなやさしい。
飛び出してきた三毛猫が軽自動車の下に隠れたので、覗こうとしたら、その前で煙草を吸っていた若者3人が、そっとどいてくれて「こんにちはー」とお辞儀をしてくれたのには驚いた。
すれ違う人たちも「こんにちは」とあいさつしてくれ、とても気持ちがいい。
西はなんだか日が長いから、7時前でも明るい。
猫いないかなと探しているけれど“餌やり禁止”などの貼り紙があって、なかなか見つかる気配がない。
「この辺に猫いないですかね」とひとっぷろ浴びてきた風情のおばあさんに聞いてみた。
「猫やらいちょる」と答えてくれ、その後もひとしきり柔らかい言葉のおしゃべりは続く。
ちょうど時刻がごはん時で観光客は宿にいるのか、行きかっている地元の人たちはみんなやさしい。
飛び出してきた三毛猫が軽自動車の下に隠れたので、覗こうとしたら、その前で煙草を吸っていた若者3人が、そっとどいてくれて「こんにちはー」とお辞儀をしてくれたのには驚いた。
すれ違う人たちも「こんにちは」とあいさつしてくれ、とても気持ちがいい。
鉄輪温泉を開湯したのは一遍上人といわれている
思うに、鉄輪には今も湯治の文化が生きているんでしょうね。
昔から長期滞在者は、米や野菜などを持ってきて、地元の人たちと交換したりして、人との触れ合いを大事にしてきたという鉄輪温泉。
私にとっての湯治は東北の雪深いところが思い浮かんで、もし癌になったりしたら秋田の温泉に行こうと思っていたけれど、鉄輪みたいな人も気候もあったかい場所ならもっといいかも。
昔から長期滞在者は、米や野菜などを持ってきて、地元の人たちと交換したりして、人との触れ合いを大事にしてきたという鉄輪温泉。
私にとっての湯治は東北の雪深いところが思い浮かんで、もし癌になったりしたら秋田の温泉に行こうと思っていたけれど、鉄輪みたいな人も気候もあったかい場所ならもっといいかも。

湯気なら鉄輪が日本一
別府八湯の中でも高温の沸騰泉である鉄輪の共同浴場すじ湯で、面白いものを見た。
見て、竹ほうきを逆さにしたみたいなこれ、何だろう?と思ったら100℃近い高温の湯を細い竹を通して水滴に変え、表面積を増やして、湯温を下げる装置。
見て、竹ほうきを逆さにしたみたいなこれ、何だろう?と思ったら100℃近い高温の湯を細い竹を通して水滴に変え、表面積を増やして、湯温を下げる装置。

すじ湯は共同浴場。お地蔵様の賽銭箱に100円入れて入る
それをもっと大掛かりにしたのがひょうたん湯の“湯雨竹”だ。
ゆめたけって読むんだよ。
100度の熱湯がわずか数秒で47度になるって、温泉宿の夢を実現したやり方。

熱湯が瞬時に加水無しの源泉かけ流し!
入り組んだ路地を伝って、すじ湯を抜けていくと、いたいた。
店先でのどかに寝ている猫発見!
店先でのどかに寝ている猫発見!


この後、品よくあいさつに来た
おっぱいが張った真っ黒な黒猫も発見したけど、警戒心が強いのか、追っても逃げてしまう。
こそこそと家の横に入っていく黒猫を見つけ、のぞいてみれば、そこには5匹程の真っ黒な仔猫達が!なーるほど、そういうことね。
お母さん猫はずっと警戒してこちらを見ている。好奇心旺盛に代わる代わるこちらを覗く、仔猫達が可愛い。
こそこそと家の横に入っていく黒猫を見つけ、のぞいてみれば、そこには5匹程の真っ黒な仔猫達が!なーるほど、そういうことね。
お母さん猫はずっと警戒してこちらを見ている。好奇心旺盛に代わる代わるこちらを覗く、仔猫達が可愛い。

あら、見つかっちゃった!

奥でたくさんの眼が光ってる
柔らかくて丸くて調和のとれた鉄輪と比べると、別府の温泉街はずいぶんおもむきが違う。
竹瓦温泉発のネコサファリがあると知って、それには参加できなかったけど、そのあたりの路地を歩いてみた。
竹瓦温泉自体はおもむきのある建物だけど、路地に猫は見当たらず。
竹瓦温泉発のネコサファリがあると知って、それには参加できなかったけど、そのあたりの路地を歩いてみた。
竹瓦温泉自体はおもむきのある建物だけど、路地に猫は見当たらず。

これぞまさに温泉といったたたずまい
周辺には昔ながらの温泉につきものの、男心をくすぐるような風俗の店が多いことといったら。今も変わらず需要があるのかしら?
路地にあるビリヤード屋の看板猫がかわいかった。
路地にあるビリヤード屋の看板猫がかわいかった。

近くの駐車場にいた白サビ
翌日は足を延ばして、1300年の歴史を持つ紺屋地獄の鉱泥を利用した別府明礬温泉保養ランドに行ってみた。
“当紺屋地獄は他に類を見ない地獄から直結した温泉です。
直接地獄に入っていることをお忘れなく“
ひぇー、うち湯の泥湯にはこんな注意書きが。
奥には広々した露天の混浴の泥湯もある。
混浴でも泥湯はねっとりと濁っているから、湯につかっていれば体は見えない。
体をこごめながらズズズと泥を搔き分けつつ進む。
蒸し湯もあったけど、その熱いことといったら、地獄蒸しの温泉卵の気分だ。
この温泉は、はて、快楽なのか?修行なのか?
“当紺屋地獄は他に類を見ない地獄から直結した温泉です。
直接地獄に入っていることをお忘れなく“
ひぇー、うち湯の泥湯にはこんな注意書きが。
奥には広々した露天の混浴の泥湯もある。
混浴でも泥湯はねっとりと濁っているから、湯につかっていれば体は見えない。
体をこごめながらズズズと泥を搔き分けつつ進む。
蒸し湯もあったけど、その熱いことといったら、地獄蒸しの温泉卵の気分だ。
この温泉は、はて、快楽なのか?修行なのか?

アッツ―ッ!目の前が見えないほどの蒸気
バックナンバーはこちら
















作家プロフィール

池田あきこ
東京、吉祥寺生まれ。
1976年、革工房わちふぃーるど設立。
1983年、初の直営店を自由が丘にオープン。ショップのシンボルマークとして『猫のダヤン』が誕生した。
1987年より不思議な国わちふぃーるどを舞台に絵本を描き始め、画集、長編物語、旅のスケッチ紀行など多方面に作品を発表。著書は130タイトルを超える。
1999年、初の原画展全国ロードを開始。
2010年から「ボルネオ緑の回廊」プロジェクトで、動物たちに安全な森をプレゼントする活動を続けている。
2018年、立体的に世界を楽しむ「猫のダヤン35周年 ダヤンと不思議な劇場 池田あきこ原画展」を松屋銀座を皮切りに全国ロード開催。河口湖木ノ花美術館にて常設展開催中。
2023年6月28日より猫のダヤン40周年記念展『池田あきこ原画展ーダヤンの不思議な旅』を銀座松屋で開催。
© Wachifield Licensing Inc. All rights reserved.